テレワークではモチベーション低下対策を!
■ テレワーク実施前後のモチベーション変化
昨今急速に普及したテレワークですが、働く人々のモチベーションにはどの
ような影響があるのでしょうか。株式会社リクルートキャリアは、コロナ禍で
テレワークをするようになった就業者2,272名に、仕事に関するアンケートを実
施しました。現在もテレワークを実施している人に働くモチベーションについ
て聞いたところ、テレワーク実施前では「やや低い」「非常に低い」の回答は
14.1%であるのに対して、テレワーク実施後の同指標は22.5%(8.4pt増)でし
た。つまり、テレワークによってモチベーションが低下した人が増えているの
です。
■ モチベーションを左右する要素
社会組織心理学の第一人者であるハックマンは、取り組むべき仕事が次の5
つの要素をどの程度満たしているかによって、人々のモチベーションが左右さ
れるとしています。
@ 求められるスキルの多様性
A 仕事の全体感の把握
B 仕事の重要性の実感
C 仕事の進め方の裁量
D 上司や同僚からのフィードバック
この5つのうち、テレワークによって影響を受けたと感じた人が多かったの
が、A仕事の全体感の把握(テレワーク実施前後で20pt減)、B仕事の重要性
の実感(同13.2pt減)、D上司や同僚からのフィードバック(同15.6pt減)で
した。
■ 普段以上にコミュニケーションを!
テレワークによるモチベーション低下を防ぐには、上記ABDに働きかける
ことが有効だと考えられます。アンケートのフリーコメントからは、テレワー
クにより上司や同僚とのコミュニケーションが減少したことによって、これら
の度合いが低くなったと感じている様子が読み取れます。つまり、テレワーク
では、普段以上に上司や部下、同僚間のコミュニケーションを密に行うこと、
職場の全員がそれを心掛けることが必要です。テレワークを“導入して終わり”
にするのではなく、コミュニケーションをとりやすくするための施策(オンラ
インツールの活用、1on1の実施等)を行うことが成功の鍵といえるでしょう。
メリット大! SDGsへの取組みについて検討
してみませんか
■ SDGsとは?
近時、「SDGs」という言葉をよく耳にするようになりました。SDGs
(Sustainable Development Goals)は「持続可能な開発目標」を意味し、
「経済・社会・環境の3つの側面において、持続可能な開発に取り組んでい
く」という世界規模での目標です。
日本では、大企業に比べて中小企業へのSDGsの浸透が遅れていることが課
題となっています。政府も、企業数全体の99.7%を占める中小企業の取組みが
欠かせないとしています。
■ 取組みのメリット
SDGsへの取組みには「企業の社会的責任」という面もありますが、取り
組むことで企業が得られるメリットはたくさんあります。
たとえば、SDGsへの取組みは人材確保にも貢献します。就職情報会社が2020年
に来春卒業予定の大学生を対象に行った調査では、7割以上の学生がSDGsに
ついて「知っている」と回答しました。企業の社会貢献度の高さが志望に影響
を与えたとする学生も6割を超えています。今や、SDGsに掲げられている
ような社会貢献の度合いが、学生が企業を選ぶ際の1つの基準になっており、
SDGsを意識しない企業では優秀な人材の採用・定着が難しくなっていくと
いえるでしょう。SDGsを通して組織に一体感が生まれれば、従業員のモチ
ベーションの向上も期待できます。
また、ESG投資の後押しにより投資や資金援助が受けやすくなったり、ブ
ランドイメージが向上することによってビジネスのネットワークが広がったり
と、事業拡大に与える影響も大きいといえるでしょう。
■ SDGsへの取組みを始めよう
SDGsは、企業価値を高めることにもつながります。すでに多くの中小企
業が、SDGsへの取組みを始めています。他社の事例も参考に、SDGsへの取
組みについて検討してみませんか。
「アウティング」は不法行為
■ アウティングとは
アウティングとは、本人の同意なしに、セクシュアリティにまつわる秘密
(ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、性同一性障害であること等)を他者が
周囲に暴露する行為を指します。例えば、当事者から好意を伝えられた人が第
三者に「あのひと、同性愛者なんだよ」と話すのも、相談を受けた人が「○○
さんって、実は元・男性(女性)なんだって」と漏らすのも、本人の同意がな
ければアウティングに当たります。
■ アウティングをしてしまうと……
アウティングをされた当事者は、深く苦しむことになります。職場で行われ
た場合、退職のみならず、うつ病などの精神疾患やハラスメント裁判、最悪の
場合は命にかかわる可能性すらあり、企業としても「知らなかった」では済ま
されない問題です。実際に、アウティングを巡る事件について裁判が行われて
おり、高裁判決の際は、アウティングが「人格権ないしプライバシー権などを
著しく侵害するものであり、許されない行為」という判断がなされています
(一橋大学アウティング事件)。また、アウティング被害を巡って企業側が従
業員に謝罪、解決金を支払って和解したという報道もありました。
■ 相談体制の強化も図られている
厚生労働省によるパワーハラスメント防止のためのガイドラインでも、労働
者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労
働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること、すなわちアウティングがパワ
ハラに当たることが明記されています。つまり、事業主にはその防止措置が義
務付けられています。具体的な防止措置としては、職場での方針の明確化・周
知・啓発、相談体制の整備、問題が発生した際の迅速かつ適切な対応、プライ
バシー保護のための体制整備などがあります。多様性を尊重し、従業員が安心
して働ける環境を構築することで、企業の発展につなげていきましょう。
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